「誰からも必要とされない」──そんな思いに苦しむとき、
強い孤独感に押しつぶされそうになったり、存在価値を見失ってしまったり…。

「私は世の中に役立てていないのでは？」
「生きる意味なんてないのでは？」

そんな風に心が重くなってしまうことはありませんか？

孤独感や自己否定にとらわれると、人は「私は必要とされない人間だ」という思い込みに支配されてしまいます。

今日のコラムでは、実際に「誰からも必要とされない」と感じていた女性のケースを通じて、孤独や承認欲求の痛みから抜け出し、自分の存在価値を取り戻すヒントをお伝えします。

Aさん（35歳・女性）。
20代前半で結婚しましたが、長男が1歳の頃に離婚。実家に戻ったものの「出戻り」と言われ、
実家なのに肩身の狭い思いを抱えていました。

生活のためにパートで働き始めましたが、完璧主義な性格から確認作業に時間がかかり、
効率優先の職場では「遅い」と責められ、やがていじめの対象に…。

転職しても状況は変わりませんでした。
ある日、職場の備品を整理しただけで、

「余計なことはするんじゃない！」

と叱責されてしまったのです。

「私……どこからも、誰からも必要とされていないんです」

Aさんはセッションの冒頭で、涙ながらにそう語っていました。

 この「誰からも必要とされていない」という思い込み。

孤独感や自己否定に苦しむ人は少なくありません。

たとえ友人に相談しても、

「そんなことないよ、みんな必要としてるよ」
「お母さんや子どもがいるじゃない」
「もっと感謝して前向きになろうよ」

と励まされることが多いでしょう。

けれど、頭では理解しても心に響かない。
なぜなら、その「必要とされていない」という感覚は、本人にとっては 揺るぎない“真実” だからです。

心理学や認知科学の観点から言えば、人はみな「自分だけの世界」を生きています。

自分の中でリアルに感じていることが、その人にとっての正解。

だからこそ、周りから「そんなことない」と励まされても、
孤独感や承認欲求の欠乏から生まれた自己否定の思いは簡単には消えないのです。

マトリックスという映画を見たことがありますか？

キアヌリーブス扮する主人公は、
実は脳に電極をさされたままベットに寝かされ、
仮想現実をリアルに生きていたんです。
あるとき、実はリアルだと思っていたこの世界が現実ではないと知り、
このまま仮想現実で生きるか、
現実の世界で目覚めるかの選択を迫られ、
日常の違和感に悩まされていた主人公は，
現実の世界で目覚める事を選択する。

というお話しです。

最近の認知科学などでは、

「私達は目や耳のような感覚器を通して得られた
　下界の情報を忠実に現すのではなく、
　頭の中で意味を抽出したり、体制化したり、
　頭の中て保存されているものとを再構築して、
　自分の世界としてアウトプットしている」

と言われていますので、
あなたの世界も、
マトリックスの映画ほどではないかもしれませんが、
一度疑ってみる必要があるのかもしれません。

分かりやすく例えるなら、あなたは「青いレンズのメガネ」をかけて世界を見ているようなものです。

あなたにとって世界は青く見える。

他の人が何色に見えているかは関係なく、あなたにとっての現実は青色です。

もし青い世界が居心地よければ問題はありません。

けれど「孤独」「必要とされない」「生きる意味がない」という苦しさを感じているなら、
そのメガネを一度外す必要があります。

Aさんの潜在意識をひも解くと、小学校低学年の記憶が強く影響していました。

転校生として新しい学校に行ったとき、クラスでいじめに遭ったのです。

「お前なんて、学校にいてもいなくても関係ない。必要ないんだよ」

子どもの心にはあまりに強い言葉でした。

その瞬間に、Aさんは，

「私は誰からも必要とされない人間だ」

というセルフイメージを心に刻んでしまったのです。

それ以来、青いメガネをかけ続け、
無意識のうちに孤独や承認欲求の欠乏感を強める行動パターンを繰り返してきました。

こうした「誰からも必要とされない」という思い込みの正体。

それは 幼少期の心の傷から生まれたインナーチャイルド です。

インナーチャイルドとは、（※詳しくはインナーチャイルドとはのベージへ）
子どもの頃に受けた傷や記憶が無意識に残り、大人の行動に影響を与えること。

青いメガネを外すとは、このインナーチャイルドが抱えていた
「私は必要とされない」という誤ったセルフイメージを手放すことなのです。

セッションを通じてAさんは、子どもの頃の記憶が「真実」ではなかったことに気づきました。

「あれ？？？？

　あれは、いじめっ子が私を苦しめるための言葉だった。

　それを信じ込んでしまっただけなんだ」

そう気づいた瞬間、長年かけていた青いメガネは外れました。

今ではAさんは、お花屋さんで仲間と一緒に働き、毎日をいきいきと過ごしています。

「誰からも必要とされない」という孤独感から解放され、
自分の存在価値を自然に感じられるようになったのです。

🌿 もっと詳しく「必要とされたい」という思いについて知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

➡ 「人に必要とされたい」と苦しいあなたへ｜承認欲求とインナーチャイルド